梨とリンゴ

ニューヨークとっとり応援ブログ!

セピア色の9月

911は過去の出来事だが忘れる事が出来ない

 2001年9月11日(火)この日は天候の良い朝であった。いつもの様に公共交通機関を使いマンハッタンにある事務所に向かっていた。朝9時前、マンハッタンの中心を走る5番街を複数のパトカーと救急車が、けたたましいサイレンの音と共に猛スピードで南下して行く。5番街の歩道からからダウンタンを眺めると、ワールドトレードセンタービルの真ん中よりも上の辺りから黒煙が立ち上っていたのでビル火災だと思った。歩道を歩く多くの人々が立ち止まり不安な表情で緊張した空気に包まれていた。

 オフィスに到着してコンピューターのスイッチを入れ仕事にとり掛かり始めようとすると同僚が興奮して飛び込んで来た。そこで初めてワールドトレードセンターに旅客機が衝突した事を知る。いつもはBGMを流しているFMラジオは報道中継となっていた。2機目の旅客機が別のビルに衝突した報道がなされた時、これはただ事では無い!事を知った。鳴り続くサイレンの音がビルの谷間にこだまし響き続ける。ビルの窓から下を眺めると、5番街には多くの群集が急ぎ足で移動している。仕事が手に付かない、中継の報道に耳を傾けるしかなかった。ビルが崩壊(Collapes)というアナウンスがなされた直後、しばらく報道に沈黙の時間があった。この沈黙の時間は長かった、解説者が言葉を失ったのである。直ぐに我々はオフィスを閉めて街を駆けずる群集の流れに合流し避難民の如く彷徨ったのであった。

 毎年この日がやってくるとあの日の出来事を思い出す。あの日を境に世界的なテロとの戦いが始まった。近代の歴史の流れが強制的に変わった節目であった。あれから20年以上の時間が経過し、世界の情勢を客観的に観ようとする姿勢になれたのは当時の心の騒ぎがセピア色の映像となって記億に刷り込まれているからである。

 事件で亡くなった人々に冥福を捧げ、残された家族と友人の心の安泰を祈り続ける。