梨とリンゴ

ニューヨークとっとり応援ブログ!

ニューヨークのグレイな春

ロングアイランドシティから望むクィーンズボロブリッジとマンハッタン

 4月になると気分は春という事で、明るく晴れた暖かい日々が続くというのは幻想である。実際はそういう晴天もあるが、雨が多く寒暖の差が激しい期間が暫く続くのがニューヨークの春である。満開の桜の木の下でスキヤキを囲もうとする仲間内の計画があったのだが、天候うんぬんで流れてしまい、来年に持ち越すという結果になってしまった。

 4月の某日、クイーンズ地区にある高層ビルから眺めたマンハッタンの光景は灰色であった。映し出す色が灰色というのは都会らしい色彩であるのかも知れないが、僕はここに季節の手間事を感じた。パレットに余った多色の水彩絵の具を水で洗浄する時に、水道を流しながら筆で絵の具をかき混ぜ洗いこする時、下に落ちてシンクに溜まり下水に流れる水の色が灰色でこんな感じの色になるのではないかと感じた。つまりグレイ色とは洗浄中の色なのである。やがてパレットには新しい原色が絞り出される事になる。鮮やかな色彩で絵を描くために、まず使用するパレットを綺麗にするのが続く春の雨天なのである。

 

Happy Easter!

バーモント州の観光案内所に掲げれれていた卵の絵

 今年2024年のイースター(Easter)は3月31日。イエスキリストの復活を祝う復活祭でキリスト教国家の祝日である。この日のシンボルは卵と兎。卵は生命の始まりを意味し、兎は繁殖力が強い存在として用いられている。ねずみ男に言わせると、兎よりもネズミの方が生命力や繁殖力があるぞ!と説教をくらうかも知れない。因幡の伝説に登場する白うさぎは春を象徴する生き物なのである。イースターの祭日は春の訪れの祝いと理解している。

 春の到来は何かと忙しい。ニューヨークでは毎年セントパトリックディパレード、というアイルランドの祭りが3月の3週目に街の中心で繰り広げられ、街は緑に染まる。これは春を告げる動的な祝いの様だ。そしてイースターはどちらかというと静的な祝いとなる。世界的には春分となり、日本ではお彼岸の時期、御先祖様を供養する時である。太陽の日差しが暖かくなり、4月という節目に気持が緩む。最近、昼間に眠気を感じる事で春の到来を感知している。

今月の一枚 March 2024

今年最初に見つけた開花した桜の木の下で

 春の到来を教えてくれる桜の花。桜の開花が今年最初に認識出来たのは、肌寒い3月15日の事であった。桜の木はニューヨークの周辺ではとてもポピュラーな植木であり、4月になると一斉に開花し春の到来を教えてくれる。桜の木にも種類があるようで、この写真の桜の木はよりピンク色の濃い小ぶりの花を咲かせていた。昔見た山桜の様でもあり、強い生命力を感じる。開花した桜を見るとパブロフの犬のように、甘い桜餅の食感と満開の桜木の下で繰り広げられる宴の世界が展開する。

 春の到来は嬉しい節目である。が、しかし、なぜか焦りを感じる。テスト勉強していないのにテストの日がきてしまった(汗)。練習不足な状態でスポーツの試合に挑む(焦)、そんな感覚を覚える。しかし、この状況こそがギフトなんだと思う。留まっていないで前に進め、どん!と背中を押される状態。春を迎える度に桜は全力で花を咲かせ、花を観賞する人々を激励し応援している。

 

自由の女神

マンハッタンのリバティパークから自由の女神を望む

 日本で暮らしていると自由という概念は意識しづらいかと思う。昔サンフランシスコでアジアの某国から来たYさんとの関係において、自由という概念を自分の中で始めて意識した思い出がある。それまでの僕には自由と放縦の区別さえなかった。自由にはルールと責任、そして良い結果が伴う事が条件となる。また、人が生きて生活してゆくうえで必要なものは、衣食住+自由、なのである。

 自由の女神(STATUE OF LIBERTY)はニューヨークを象徴する存在である。正式名称は LIBERTY ENLIGHTENING THE WORLD であり、この名称には自由の背景、なにやら深い示唆が潜んでいる。1776年のアメリカ独立の100周年を祝ってフランスから贈呈され1886年に完成。歴史的な目で観ても愉しめる。自由の女神は、文字通り自由を象徴する建造物であり、そこを訪れる者に自由について自らに問う機会を与えてくれるのである。

 

ウォール街のブル

ニューヨークウォール街のシンボルである牛の銅像

 

 マンハッタンの南にウォール街と呼ばれる金融街がある。その南端に突進する雄牛の大きな鋳物があり観光名所となっている。雄牛(ブル)とは強気相場を意味し、景気や株の上昇時に使う表現です。このブルは金運上昇のシンボルであり、その恩恵にあずかりたいとする人々が連日世界中から訪れます。雄牛の部位でもお目当てはキ○タマで、それに触れて一緒に写真に収まる為に長い行列が出来るという有様です。

 金融街のブルも摩天楼も多くの人々にとっては富の対象。鋳物の牛は5000年前の旧約の時代から存在し、一神教の世界では偶像崇拝の象徴という歴史もあります。この地域では事実多額のマネーが動いていますが、それは目に見えない計り知れなくでかい怪物のようなもの。この怪物は世界を動かし、人間を支配する力を持つ。ニューヨークがニューヨークらしく存在するのはアメリカ経済の中心であるこのウォール街有っての事、そのシンボルがこのブルとそのキン○マなのである。(拝)

今月の一枚 February 2024

冷え切った冬のニューヨークとブルックリンブリッジ

 寒い2月のニューヨーク最大の魅力は一年で最も空気が澄み切っているという事。四方を河や海の水で囲まれているにもかかわらず、この街の2月は空気が乾燥している。晴天に恵まれれば、青い空と青い水の空間に摩天楼の巨大なジャングルが冴えた輝きを魅せてくれる。

 マンハッタンのミッドタウンから6番の地下鉄に乗って南下し、シティホール駅で下車。地上に出る階段を上がってホールの裏側に向かい5分程東に向かって歩けば、イースト川に掛かるアメリカで鉄製のワイヤーを使った最も古い吊橋(1983年)であるブルックリン橋の麓に辿り着く。快晴の休日。朝10時を廻った頃であったが橋上は多くの人々で賑わっている。橋から眺めるダウンタウンの聳える高層ビル群、眩しく光るイーストリバーとその上に架かる白いマンハッタンブリッジ。年季を感じる木材の敷かれた橋の歩道を歩く。厚くベージュ色のペンキが塗られた欄干を眺めていると、その横をランナー達が颯爽と駆け抜けてゆく。

 

 今年もこれから春に向けてニューヨークは徐々に暖かくなる。やがて、痛い寒さを懐かしく感じる時がくる。その時はこのブルックリンブリッジの橋の上から眺めた青く輝くマンハッタンの摩天楼の光景を描く事になりそうだ。

 

ワンタン麺が食べれる事の幸せ

シンプルで無条件に美味しい中華街のワンタン麺

 春節が終わったニューヨークの中華街(チィナタウン)に足を運んだ。目指すのは一杯の中華そばを食べるためである。友達と中華街にあるマクドナルドで待ち合わせて中華街の人込の中に溶けてゆく。お昼時間の混雑した飯店に並び、丸テーブルの相席に通される。熱く香りの強いウーロン茶が注がれ、まずは乾杯!香港式のワンタン麺を注文する。5分も待つことなく湯気が立ちのぼる熱々のワンタン麺がテーブルに運ばれてきた。しかし、今日のここまでの行程は長かった。あえて一時間以上マンハッタンを歩いて中華街を目指したのだ。食事の前の運動がよりよい空腹状態を提供してくれる。中華飯店の一杯のワンタン麺には雑然とした中華街の空気と、そこで生きている人々の日常が濃縮されている味である。わざわざ一時間以上歩いて食べにいく価値と満足は十二分にあるのだ。

寿司が食べれる事の幸せ!

うるおいよく輝くすし、眩しすぎ!

 友達の誕生日会に呼ばれた。いい年をしたおっさんの誕生日会など興味がないのであるが、今回は特別でシェフを呼ぶから、という事で推されるままに参加する運びとなった。向かう道の途中で酒屋に寄り、 I P A のビールを1ダース手土産+バースディギフトとして持参した。

 彼が招待したシェフは彼の友達で、ニューヨークの高級日本寿司レストランのオーナー寿司職人。台所に立つ彼が握った寿司が既に桶の中に盛られ、瑞瑞しい切り身は眩しく輝き存在感をアピールしていた。思えば、コロナ過が始って以来寿司屋には行っていない。コロナ過が収束した今は寿司が高価になって気軽に行けない。という事情である。新鮮な魚を日本から航空便で取り寄せ、日本の職人が握る一貫の寿司には目には見えない付加価値が多く含まれており、知る人ぞ知る世界である。最初は恐れ多く遠慮して頂いていたのだが、やがて緊張もほぐれ気がつけばお腹一杯になっていた。料金に換算すると青ざめる値段である。やはり、お寿司は美味しい、とても幸せでした。

ごちそうさま!

 

オイスターバー

ニューヨークの冬は牡蠣の美味しい季節です

 ニューヨーク市の東側にロングアイランドという東西に長い島がある。西の端にはクィーンズ、ブルックリンという大きな地区が存在している。そのロングアイランドの海辺ではこの寒い季節(1月から3月)が牡蠣のシーズンである。鳥取での生活では魚貝類は毎日の食事の一部であるが、ニューヨークで語られるシーフーズは非日常的な要素を含んでいるので、新鮮な海産物を口にする機会は極上を楽しむに値する。

 クイーンズ地区にある先輩の行きつけのシーフーズレストランに誘って頂いた。カウンターに腰掛けてシトラスの効いたジンを片手にたわいのない日常会話を愉しみながら、目の前で氷の盛られた大皿にシェフが牡蠣を手に一つ一つ殻を外して盛り付けてゆく光景が嬉しい。レモンを絞りかけケチャップと西洋わさびの効いたカクテルソースでいただく。牡蠣が育つ時間、調理の為の手間と下準備、それらが口の中で一時クリーミーな食感を残して消えてゆく。生牡蠣は生命を提供して終わってしまったが、いい時を過ごしたという思い出は僕の中で今後も生きるのである。

今月の一枚 January 2024

鳥取を見守る日本海の翁

  日本海の翁、としか表現出来ない日本海に浮かぶ顔。NASAのバイキング1号が撮影した火星表面の写真の中に人間の顔をした岩が見つかり、火星の人面岩、と呼ばれている。それに近い感覚、捉え方。これはシミュラクラ(仏)現象といい、目鼻口の人間の顔に類似した対象物を人の顔として認識する脳の働きである。この脳の働きが飛行機の機内で映し出される飛行経路地図で海底の地形を3Dで捉えたところ、見方によっては人の顔に見える。いやこれは確実に翁の顔でしょっ!という結論に至った。日本海は地球上で一番若い海である。この海下に浮かぶ顔が赤ちゃんや子供ではなくて翁顔というのはミステリーでしかない。

 では、この翁の視線は何処を見つめておられるのであろうか? 神話の国出雲です。と言いたいとこですが、実は鳥取県です。鳥取の守護神は日本海の翁であった!鳥取に住んでいると悪い事が出来ない、いつも誰かが観ている気がする。その通りです。翁が見守る郷土であったのだ。

 

日本列島周辺のジオグラフィー

 日本列島は台湾から千島列島に掛けて妖精の腕が伸びている。東京は心臓、太平洋に長く伸びる体幹と足、その姿は翁の顔をした踊るポンポコリン、日本の正体は日本ポコリンである。日本が地震大国である理由の説明がこれで理解出来てしまう。(怖!)