梨とリンゴ

ニューヨークとっとり応援ブログ!

今月の一枚 April 2023

欄 花には知性があるんじゃね? と思わせられる

 近くに住んでいながら行った事がない場所っていうのが誰にでもあると思う。僕にとってその一つがニューヨークのブロンクス地区にあるニューヨークボタニカルガーデン(植物園)であった。自分の意思で自発的に訪れてみようとは思わないのであるが、今回招待チケットをプレゼントされ、おそるおそる訪れてみた。こういった展開が結果的に自分の常識を破り、新たな物の見方を啓発する機会となる。

 今回は毎年行われている世界の欄を集めた欄展(オーキッドショー)が開催されており、休日の午後という事もあり賑わいを見せていた。園内には重いピンク色の花を付けた大きな桜木や咲きかけたショッキングピンクのつつじが季節のバトンタッチを繰り広げ、深まる緑の光景の演出に買って出ていた。

 ビクトリア形式の巨大な温室の中では、色とりどり形とりどりの鮮やかな欄の束が語りかけてくる。一つ一つの花房は可愛くもけなげであり、私を見て見て、と競うように顔を向けて迫り来るアートの世界であった。

 欄は華麗で高貴な存在。一鉢の欄の花を購入した事のある人ならば高価なギフトである事を知っている。もしも今、誰かの贈り物に欄の鉢を考えているならば、同じ代価で花園への招待をプレゼントするのがいいだろう。ボタニカルガーデンの遊歩道を歩きながら、人々が気持ちの奥底で愛する人に花を送っている光景が観えるのである。