梨とリンゴ

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鳥取のむかし話

子どものための 鳥取の伝説 野津龍

 本と縁。ふらっと立ち寄った書店であなたが手にした本、そのページをなにげなくめくっているとそこに書かれた一文が目に留まり、その文章の一言が今まさに自分が捜し求めていた課題に対する問題解決の糸口になるヒントであった。そんな本との出会いを経験した事はないでしょうか?その本によって、あるいは著者の存在によって助けられたり励まされたりする、これを縁のある本と呼ぶ。

 本との縁とはそれだけではない。自分が関心が無いのになぜか自分の近くにある本。こういう本の存在は著者の魂が、あるいは贈呈者の生霊が本を媒介として側で語りかけているのかも知れない。

 私の手元に一冊の本がある。“子どものための鳥取の伝説" 著者は当時鳥取大学の教授をされておられた野津龍という方で1979年に出版された本である。この本の特徴は子どもの為に書かれた本である事でとても分りやすく、尚且つ鳥取弁を駆使して書かれているので言葉とローカルの勉強になる。内容は魑魅魍魎で幽霊や妖怪にばけもの、タヌキにキツネが幅を利かしている。それらの伝説はゲゲゲの鬼太郎をあの世からこの世に引っ張り出してきた漫画家水木しげる氏に繋がるバックグランドの世界を感じさせるのである。

 この貴重な本は鳥取を理解する為の一冊。複数の人々の書斎の本棚を経由して今、僕の手元で何かものを申さんである。この縁ある本に初めて目を通したのは丁度昨年のお盆の時期。昨年のお盆の思い出は鳥取のむかし話とバーモント州の闇夜に丸く浮いていた満月であった。