梨とリンゴ

ニューヨークとっとり応援ブログ!

ざらつく心

 爽やかな気候が続く五月のニューヨークで芸術(絵画)に触れる機会に恵まれた。

 絵画の鑑賞は画法や技術、個性や内心が集結し一枚の作品となって人々の目に触れる作者と鑑賞者との接点である。作品とは心の内の奥にあるものを引き出して目に見える形や色で伝えるという媒介である。人の持つ5感、肉体の持つ感覚は目に見る事は出来ない。人には感情があり心が存在している。その心の奥に鎮座するのが魂であり人間の本質であるといわれている。その魂の発する熱、色、声、平和、季節感、愛、...アーティストとはその一部、あるいは領域を引き出す為に表現の技法を重ね追求し続ける人々である。作品の鑑賞は時に今まで知らなかった自分の持つ領域を発見する機会となり、アーティストはその感動に貢献している。

 

作品:浮遊するオモイ 平井知行

 鳥取県の抽象画家平井知行さんが2015年に編集された画集、タイトル ”ざらつく心” に投稿されたメッセ―ジを以下に紹介(引用)する。

 

人は、生きることの意味を考える

地球に誕生した生命の進化した生物としてのみ 生きて死んでいければ

生きることを問うことも必要ないであろうに.....

人は 悲しいかな 抽象的な思考能力まで手に入れてしまった

その思考は 己の存在に向かう 思考は内向する

自らの心をざらつかせる 思考は内向する

そこに拘って 立ち止まっても どれ程の考えが見出せる訳でもない

どれ程 心が安らぐ訳でもない しかし...

そんな拘りが どれだけ表現できるのだろう できているのだろう

これらの作品が どれだけ人々の琴線に触れることができているのだろう

ほとんどの人の琴線の近くにすら辿り着けていないのかも知れない

でも 人生のほんの僅かな時間でもこの拘りに

作品集に触れていただいたことに感謝です

貴重な時間を割いていただいたことに感謝です

只 只 感謝です

 

    2015年3月  平井知行